なぜ脱毛がおきるの?

化学療法は、がん細胞の細胞分裂を抑えることによって、がんを退治しようとするものです。その過程の中で正常な細胞分裂も一緒に抑えてしまうので、薬剤等の影響で骨髄や毛根、爪などに副作用が出る事があります。薬剤によっては、脱毛の副作用が少ないものもあり、治療に使用する薬剤の種類や組み合わせなど治療が人それぞれ異なるように、副作用の程度や表出の仕方には人それぞれに個人差があります。

脱毛の予防や軽減

抗がん剤の副作用による脱毛を防ぐ方法として、頭皮冷却法の効果が期待されています。頭皮冷却法は抗がん剤を投与する時に、クーリングキャップを装着して頭皮を冷やす事で毛細血管を収縮させ、毛根への薬剤の作用を少なくし脱毛を予防する方法です。しかし、まだ日本では、保険適用外であり、実施可能施設も極めて限定されています。かかりつけの病院で実施可能かご相談してみるとよいでしょう。
脱毛を伴う抗がん剤治療を行うと約1年~2年はウイッグを必要とする生活をすることになります。帽子型のウイッグなど手軽に着用できる物もありますので、治療に入る前に準備しておくと安心です。

 

脱毛前の準備

髪をカットしましょう

脱毛前と脱毛後のイメージが大きく変わると、心の負担も大きくなることがあります。抜け始めた髪の始末を簡単にするためにも、髪は短めにカットしておきましょう。でも、剃ったり、短くしすぎると抜けた毛が肌に刺さったり衣類に入り込んだりしますので、あまり短くしすぎないようにしましょう。

ウイッグを用意しましょう

個人差はありますが、脱毛後約1年間から2年間はウイッグを使用することになりますので、治療前に準備しておくと安心です。
人毛、人工毛、そして混毛など毛の素材、マシーンメイドにハンドメイドと製法の種類も価格も様々です。
一見しただけでは、耐久性や、お手入れのしやすさなど品質の違いやウイッグの特徴はよくわかりません。

ウイッグは、どのように選べばいいの?

ウイッグについての予備知識があると安心して選ぶことが出来ます。アピアランス・サポート相談室にご相談下さい。

ウイッグとの付き合い方も人それぞれです。自分のライフスタイルに合ったウイッグを選びましょう。

  • リーズナブルでスタイリッシュなウイッグを購入して痛んできたら、新しいスタイルのものに買い変えて、おしゃれを楽しむ。
  • 外出の機会がそれほど多くないので、簡単に着用できる帽子型のウイッグや襟足だけのウイッグと帽子で気軽に過ごす。
  • 仕事上、取引先に病気のことを知られたくないので、より自然な上質のウイッグを美容師さんにカットしてもらい自分用にアレンジ。

いろいろなメーカーのウイッグを試着しながら、最適なウイッグ選びのお手伝いをしますのでご相談下さい。

 

 

脱毛中のケア

頭皮は清潔にしましょう

頭皮は身体の中で皮脂の分泌が一番多いところです。頭皮はお顔の2倍の皮脂がでます。脱毛中も頭皮を清潔に保つために、負担にならない範囲で、なるべく毎日シャンプーをおこないます。

髪の洗い方:
泡立てボトルで泡を立てたものを頭皮につけて優しく洗う。十分な泡立てとすすぎがポイント。

使い捨てのキャップを用意しましょう

個人差はありますが、抗がん剤投与後10日ぐらいから脱毛が始まります。髪が抜けきるまでの約1週間の間、抜けた髪が散らばるのを防ぐために不織布などで出来た使い捨て用のキャップをかぶります。就寝時は特にお勧めです。

脱毛後のケア

頭皮の保護をしましょう

頭髪がないといつもより汗や皮脂が気になりますし、頭部の冷えを感じることもあります。リラックス時や就寝時に使う柔らかな素材でできた帽子の用意があると便利です。
心地よいヘッドスパなどリラックス効果を目的とした頭皮のマッサージは治療中でも行って良いですが、育毛を目的とした頭皮のマッサージや育毛剤の使用は効果が期待できないので治療が終わってからはじめましょう。
頭皮のマッサージは血行を良くして、新しい毛髪が生える力を促進します。
育毛マッサージは抗がん剤投与後1~2ヶ月して、新しい髪が生え始めるころから行うと良いでしょう。
マッサージと同様に、発毛が始まってから、ミノキシジル配合の増毛剤や育毛剤などを使用することも発毛を促進する効果が期待できます。育毛効果を期待した商品はその他にもありますが、安全な商品であるかは医師に相談の上使用されることをお勧めします。

眉毛・まつ毛の脱毛について

頭髪と同様に、眉毛やまつげの脱毛を経験することがあります。
眉毛は一般的にはパウダーアイブロウが人気ですが、眉を描くのが苦手な人や、毎日描くのが面倒といった人には、一度描くと3~7日は消えない便利なアイブロウなどもありますので利用してみてはいかがでしょうか。
まつげは、アイラインを描くだけでも目の印象は変わりますが、メガネをかけることで、さらに自然でお洒落な印象になり、また、目にほこりやゴミが入ることをよぼうできる目利ともあります。メガネはフレームが厚めのものをかけることで、目回りのメイクの必要がなくなりますので、準備しておくことをお勧めします。
つけまつげは、肌が敏感になっている時期は接着剤(グルー)の刺激が強いと感じる方が多いので、低刺激のグルーを用意することをお勧めします。心配な場合には、少量をつけてみてアレルギーなどの反応が出ないか試験することも良いでしょう。